2015年5月28日木曜日

「クリアランス調査(第01弾) 容器詰液体調調味料(特開2007-289083)を題材に」~実践的知財勉強会@MIP第05回開催報告

■討議テーマ
クリアランス調査(第01弾) 容器詰液体調調味料(特開2007-289083)

■討議内容

今回は、

クリアランス調査

をテーマに討議をしました。


 勉強会の討議風景


題材とした、発明は、


になります。
(※ 前回、題材とした、容器詰液体調調味料(特許第4772580号) の出願公開公報を使いました)

クリアランス調査とは、自社製品が他社の特許を侵害していないかどうかを調べるための調査を言います。
事前に、権利の抵触性を判断し、事業の安全性を判断する材料とします。

基本的には、「自社製品」と「他社特許(特に「特許請求の範囲」の文言)を対比することで、
判断します(「判断」の仕方については、すでに討議済みの「他社特許の壁を突破する!」が参考になります。

(参考:オンダ国際特許事務所HP)

●発明の把握
まずは、「自分の発明」の把握から行います

発明は、大きく「課題」⇒「手段」⇒「効果」で定義できますので、公報を見ながら、整理します。

●課題
まずは課題です。
【0 0 0 4 】
 前述の従来技術においては、カリウム由来の異味抑制に十分な効果が得られない、風味
バランスが損なわれてしまうなどの課題があり、継続摂取が可能な風味とは言えないのが
現状である。従って、ナトリウム量が少ないにもかかわらず塩味が増強され、カリウム由
来の異味が抑制されて風味バランス良好で、継続摂取可能な容器詰液体調味料を得ること
が望まれている。
 本発明の目的は、ナトリウム量が少ないにもかかわらず塩味が増強され、カリウム由来
の異味が抑制されて風味バランス良好で、継続摂取可能な容器詰液体調味料を提供するこ
とにある。

減塩には、Naの含有量自体を減らす必要がありますが、
その分減ってしまう「塩味」を補うためにK(カリウム)を用いて、風味バランスを整えます。

しかし、新たな課題として、K由来の異味が生じてしまうという問題が生じます。
そこで、減塩しつつ、塩味自体は強化され、かつ、K由来の異味が抑制するような調味料を提供する必要があります。

●解決手段
次に、課題です
【0 0 0 6 】
 すなわち、本発明は、次の成分( A ) 、( B ) 、( C ) 及び( D ) 、
( A ) ナトリウム                  5 . 5 質量% 以下
( B ) カリウム                   0 . 5 ~ 6 質量%
( C ) 酸性アミノ酸が2 質量% 超、及び/ 又は塩基性アミノ酸が1 質量% 超
( D ) エタノール                  1 ~ 1 0 質量%
を含有する容器詰液体調味料を提供するものである。

NaとKに加えて、「アミノ酸」(酸性、塩基性両者)と「エタノール」を含有する調味料です。

●効果
【発明の効果】
【0 0 0 7 】
 本発明によれば、ナトリウム量が少ないにもかかわらず塩味が増強され、カリウム由来
の異味が抑制されて風味バランス良好で、継続摂取可能な良好な風味を有する容器詰液体
調味料を得ることができる。そして、本発明の容器詰液体調味料を用いることで、ナトリ
ウム量が少ない食品の製造が可能となる。

これで、発明の把握はひとまず終了です(発明の本質がどこにあるかは別途)。

●調査のための母集団決定に必要な条件
公開公報、登録公報、論文、などなどクリアランス調査で調査すべき文献、どこまでの国で特許調査すればいいか?を判断する必要があります
⇒ 今回のテーマは、「クリアランス調査」です。また、ひとまず「日本国内」での実施を想定しているため、「日本語特許文献」で、かつ、「登録公報」のみを対象としました
⇒ また調査基準時は、特許出願時である、H18年4月26日としました。少なくとも、ここから20年以上前に出願された特許については、調査対象外です。また、これ以後に出願され、かつ、成立した特許であっても、放棄や年金不納付などにより消滅している特許は、調査対象外としました(再審による復活などを考慮すると、消滅後1年程度のものについても、見ておく必要があるのしょうが、今回は割愛)

テキスト検索
まずは、簡易にテキスト検索を行いました

検索は、

特許庁のJPPを用いつつ、
特許公報(B)を中心に行いました。

討議の中で、出てきた意見としては、

・業界によって、検索のやり方が違う:食品や医薬など、製品と売上が直接関わり且つ売上が大きい業界は慎重に検索したほうがいい。ネット業界はサービス内容を容易に変えられるので、ある意味調査が緩い側面もある。

・市場を限定→構成要素を列挙又は効果→手段となる材料又は効果:この特許の場合、市場→調味料、醤油。構成要素(材料)→カリウム、ナトリウム、アミノ酸、エタノール。効果→塩味増強、塩味、異味、風味など。
・件数は500件前後が適当だと考える:業界によって、見る件数は違ってくる。
・調味料という市場に限定すると、検索数が少なすぎて絞りすぎ→市場を限定するのであれば、調味料ではなく食品とするのが良い。

・市場を限定せず、構成要素と効果だけでもいい検索数が出てくる
以下、検索式で使用された単語を列挙。
ナトリウム、カリウム、塩、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、エタノール、減塩、血圧、調味料、食品、アミノ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、醤油、しょうゆ、ショウユ、しょう油、油、異味、風味、バランス、塩味、減、低、抉み、苦。

などがありました。

どのキーワードを選ぶか?については、いろいろな議論が出ましたが、
大きく、

・構成要素(特許請求の範囲)に使われている用語
・課題、効果、技術背景に注目した用語

のいずれか、あるいは、その組み合わせで選ぶべきとの意見に集約できると思います。

また、あれこれ考えるよりも、「ひとまずそのキーワードで検索してみる」ことで、
そのキーワードの「良し悪し」が見えてくるのでは?という意見も出ていました。

あとは、調べながら、妥当なキーワードを模索していくようなイメージです。

●シソーラス
思いついたキーワードだけでは、「漏れ」がでます。
「上位概念」の特許が成立している場合、
「下位概念」の特許は「侵害」となります。

例えば、今回は、「エターナル」という構成要素がありますが、
上位概念である「アルコール」に関する特許が成立している場合、
権利範囲に含まれてしまう(=侵害)可能性があります。

そこで、用語の漏れや階層構造を整理するために、
シソーラスを使いました

(参考)
シソーラス (Thesaurus) とは、単語上位 / 下位関係、部分 / 全体関係、同義関係、類義関係などによって単語を分類し、体系づけた辞書

☆出てきた意見をまとめると
・シソーラスを調べるサイト使用(同義語検索)(ウェブリポ)
減→低、抑
味→異味、風味、摂取、塩味、バランス、苦、すっきり、味わい
調味料→調味、シーズニング、 塩加減 加味塩味香辛料塩梅
ナトリウム→ Sodium、ソジウム、なとりうむ、ソディウム、ナトリウム塩、ナトリウムイオン、Natrium、金属ナトリウム、sodium、Na
カリウム→剥荅叟母、ポタシウム、かりうむ、ポタッシウム、potassium、Kalium、Potassium、カリウムイオン、加里、K
アミノ酸→ Amino Acid、amino acid、amino acids、アミノさん、あみのさん、アミノサン、Amino acid
酸性アミノ酸→アスパラギン、グルアミン、リジン、
塩基性アミノ酸→なし
塩基性→アルカリ性
アルカリ性→alkaline status、アルカリせい、アルカリ塩基、alkaline
エタノール→ 無水アルコール、無水エタノール、ナトリウムエトキシド、変性アルコール、EtOH、C2H6O、エチルアルコールアルコール、Äthanol、酒精、ethanol、ethyl alcohol、Ethanol
醤油→正油、しょう油、しょうゆ、しょう油、ショウユ
添加、食品
などが出てきました。

☆その他の意見として、
・最初はキーワードで検索→検索数が多かったら→IPCも含めて検索→検索数が多かったら→Fタームも含めるが良いのではないか。

・クレームに一般人が検索しても引っかからないような用語で出願している企業もある→わざと誤字を入れたり、「プリンタ」を「情報処理装置」としたり。→特許分類をうまく用いて、精度を上げていくことが大事。

今回の討議はここまでです。次回は、「検索式」を作り、実際の「各特許について抵触性を判断」していきます。

最後に、ここまで討議してきた、他社特許突破のための方法論を、まとめると

(1)調査対象の発明を把握する
・アプローチしている課題
・解決手段
・解決手段の構成要素ごとに抜き出す
・発明の効果
(2):母集団を作るための材料を集める
・公報の種類を決める/どの国まで調査するか決める/調査基準時を決める
・土台となるKWを決める
・検索に必要なキーワードを抜き出していく
>アプローチ1:構成要素に注目
>アプローチ2:課題や効果(背景も?)に注目>検索の精度を高める/均等論に影響出る
>>検索結果を見ながら、適当なキーワードをピックアップしていく
シソーラス

となります。

■次回のテーマ
第06回では、引き続き、

クリアランス調査(第01弾) 容器詰液体調調味料(特開2007-289083)

をテーマに、討議します!

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